ホットサンドメーカーを使っていて、
「以前よりパンや卵といった食材がこびり付くようになった」
「前はスルッと落ちた汚れが落ちにくくなった」
という経験はありませんか?
それはフッ素樹脂加工の寿命が近づいてきている証拠かもしれません。
正しい使い方を知って、ホットサンドメーカーの寿命を延ばしましょう!
フッ素樹脂加工とは?
ホットサンドメーカーのフッ素樹脂加工
多くのホットサンドメーカーのプレートはフッ素樹脂加工されています。
フッ素樹脂加工とは、元となる素材にフッ素樹脂(フッ素を含んだプラスチック)を塗布し、加熱することで皮膜を作る加工のことです。
テフロン加工との違い
有名な「テフロン加工」は聞いたことがある方が多いと思います。フッ素樹脂の一種である「テフロン」は、フッ素樹脂を発明したアメリカのデュポン社が1945年に商標登録(2015年にケマーズ社に移転)した名前です。
テフロンがあまりに広く知られているので、フッ素樹脂加工のことをテフロン加工と呼んでいる方も多く、webサイトでもテフロンではないフッ素樹脂加工のことをテフロン加工と書かれているのが見られます。なので、「テフロン加工」と聞いたら「フッ素樹脂加工」のことだなとイコールとして考えていいでしょう。
自分で話す時は「フッ素樹脂加工」と言った方が正しいのですが、現実は「フッ素樹脂」と言うよりも「テフロン」と言った方が伝わりやすいです。絆創膏のことを「バンドエイド」や「カットバン」などの商標で呼ぶ方が多いのと似ていますね。
フッ素樹脂加工とテフロン加工の違いがわかったところで、フッ素樹脂加工について詳しく見ていきましょう。
フッ素樹脂加工のメリット・デメリット
フッ素樹脂加工のメリット
フッ素樹脂加工がこれだけ広まったのは以下のようなメリットがあるからでしょう。
フッ素樹脂のすごいとろこは、すべりの良さ。そのため少量の油でも具材がこびりつかず、汚れもスルッと落ちます。
私はよくホットサンドメーカーで目玉焼きを作るのですが、調理後も卵がプレートに残らないので、サッと拭くだけでパンを続けて焼くことができます。ホットサンドメーカーだけで手軽に目玉焼きホットサンドを作ることができるのはフッ素樹脂加工のメリットだと思います。
フッ素樹脂加工のデメリット
メリットがある一方でフッ素樹脂加工にはデメリットもあります。
デメリット1. コーティングが劣化する
フッ素樹脂加工は永久的なものではありません。その寿命は1~3年と言われています。
ホットサンドメーカー自体はアルミなどの金属でできているのでなかなか壊れることはありませんが、コーティングが剥がれてしまうと使いにくくなるので買い替えを考えると思います。扱い次第でコーティングの持ちが変わるので、正しい使い方で長持ちさせたいですね。
デメリット2. 350℃以上で有害な物質・ガスが発生する
350℃以上で有害な物質・ガスが発生すると言われています。350℃と聞くと「そんなに高温にすることはない」と思うかもしれませんが、空焚きを約5分続けると350℃に達するそうです。
また、ホットサンドメーカーなどに使われるフッ素樹脂の耐熱温度は260℃。それ以上になると劣化するので寿命が短くなります。
フッ素樹脂加工のメリット・デメリットまとめ
フッ素樹脂加工されていると少量の油で調理できたり、洗いやすいというメリットがある反面、その加工には寿命があることや使用方法を誤ると有害な物質・ガスが発生するというデメリットもあることがわかりました。
フッ素樹脂加工が剥がれてしまうと、食材がこびりついてしまって上手に作れなくなったり、汚れを落としにくくなります。フライパンで経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。初めはスルッと汚れが落ちていたのに、こびりつくようになるとプチストレスになりますよね。
そうならないためにも、フッ素樹脂加工の扱い方を知ってホットサンドメーカーを長持ちさせましょう!
次に、フッ素樹脂加工に対するNG行動について見ていきます。
フッ素樹脂加工を長持ちさせるために知っておきたいNG行動
NG行動1. 空焚き
フッ素樹脂加工されているホットサンドメーカーを空焚きしてはいけません。なぜかというと、フッ素樹脂の耐熱温度である260℃を超えてしまうからです。耐熱温度を超えるとプレートが劣化し、寿命を早めてしまいます。
空焚きとは?・・・鍋や釜などの容器に液体(水など)を入れずに火にかけられている状態、もしくは加熱されている状態
引用元:wikipedia
プレートが空の状態で火にかけることを空焚きというのですね
260℃という温度を言われても分かりにくいかもしれないので、温度の目安を紹介します。例えば水が沸騰している状態が100℃なので、水がプレートに入っている限りフッ素樹脂の耐熱温度まで上がることはありません。また、200℃を超えると食材が黒焦げになりますので、調理中にそこまで高温になることもありません。
「じゃあ260℃なんてなかなか達しないんじゃないの?」と思われるかもしれません。しかし、プレートが空の状態で強火にかけると約1~2分で260℃を超えます。そしてさらに熱し続けると有毒ガスが発生する350℃に達します。空焚きが危険なことがよく分かりますね。
鉄製フライパンなどフッ素樹脂加工されていないものは最初に空焚き(空焼き)をすることがありますが、【フッ素樹脂加工されているものは空焚き厳禁!】と覚えておきましょう。
また、洗った後に水分を飛ばすために火にかけるのもやめた方がいいです。すぐに乾燥させたい時はキッチンペーパーなどで拭きとりましょう。
さらに、ホットサンドをプレートの半分だけで焼くなど、プレート全体を使わないで調理することはありませんか?そうするとプレートの空いている部分は空焚きと同じ状態になってしまいます。
詳しくは、ホットサンドメーカー 2枚焼きで1枚だけ焼いても大丈夫?をご覧ください。
NG行動2. 調理後にすぐ洗う(急冷)
フッ素樹脂加工されたホットサンドメーカーは調理後の熱い状態で水洗いしてはいけません。熱いうちに冷たい水で洗うと、プレートの素材であるアルミなどの金属とフッ素樹脂の収縮差によりコーティングが剥がれやすくなります。特に水をかけてジューっという音がするようだとプレートの劣化を早めてしまいますのでやめましょう。
ホットサンドメーカーでウインナーや目玉焼きを焼いた後に、それらを挟んでホットサンドを作りたい時もありますよね。そういった時は水洗いせずに、キッチンペーパーなどで汚れを拭き取ってからバターや油を塗ってホットサンドを焼くとプレートを傷めずに済みます。
NG行動3. 金属のキッチンツールを使う
ホットサンドを取りだす時、金属のトングなどを使っていませんか?これもNGです。プレート表面に傷がついてコーティングが剥がれやすくなってしまうので、金属製のトングやヘラなどは使わないようにしましょう。
上下のプレートが外せるタイプだと、お皿代わりにもできるのでアウトドアなどで便利ですよね。プレートから直接食べる時も金属製のフォークやナイフなどを使うとコーティングが傷つくので、以下の商品のように先が樹脂製のものを使うのがおすすめです。
ユニフレーム(UNIFLAME) カラカト
NG行動4. 研磨剤入りのスポンジやタワシで洗う
コーティングされていない鉄製のホットサンドメーカーなら金タワシでゴシゴシ洗ってもいいのですが、フッ素樹脂加工のホットサンドメーカーではタワシはもちろん、キッチンスポンジにも注意が必要です。
「研磨剤」が入ったスポンジでフッ素樹脂加工されたプレートを洗うと傷がついてコーティングが剥がれやすくなります。
研磨剤が入っているかどうかの見分け方は以下のサイトが分かりやすいです。
ハードと書かれているのは研磨剤が入っているのですね
また、メラミンスポンジも研磨スポンジなので、プレートの内側には使わないように気をつけましょう。
NG行動まとめ
知っていないとうっかりやってしまいそうな行動ばかりですね。
私も知識がない時は、フッ素樹脂加工のフライパンを熱いうちに洗ってしまったり、ハードなスポンジでこげを落としたり、乾かすために火にかけたりとNG行動ばかりしていました。これではすぐにこびりつくようになってしまう訳です。
プレート自体はしっかりした作りでもコーティングは意外とデリケートなので、面倒でも丁寧に扱うことを心がけていきましょう。
プレートのフッ素樹脂加工を長持ちさせる6つのコツ
上で説明した「NG行動をできるだけしない」ことが長持ちの秘訣です。
1. 油をひいて調理する
ホットサンドを作る時はパンの外側にバターを塗ったり、プレートに油をひいたりしましょう。ホットサンドが美味しくなるだけでなく、フッ素樹脂加工を守ることになります。ベーコンなど油を使わずに焼きたい時は、火をつける前に食材をのせましょう。
2. 弱火~中火で調理する
ホットサンドを焼くだけなら予熱なしでいいのですが、卵を焼くときなどは予熱してから使いたいですよね。
「予熱は空焚きにならないの?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。結論をいうと、予熱は大丈夫です。予熱とはプレートを調理の適温である約180℃に温めることなので、フッ素樹脂の耐熱温度(260℃)を超えるまで熱することとは違います。
ただ、予熱の際もできれば毎回油をひいてから予熱した方がコーティングが長持ちします。
また、いきなり強火にすると急激な温度変化でフッ素樹脂加工が剥がれやすくなるので、予熱は中火で30秒程度にして、弱火~中火で調理しましょう。
私がホットサンドを作る時は、中の具材にしっかり火を通したい場合は弱火よりの中火で、具材に火を通す必要がない場合は中火でカリッと仕上げています。
3. プレート全体を使う
プレートの半分だけ使ってホットサンドを作る時は、もう半分でウインナーを焼くなどしてプレート全体を使って調理しましょう。
4. 冷めてから洗う
ホットサンドを作った時も、目玉焼きを作った時も、ホットサンドメーカーを冷ましてから洗いましょう。プレートを開いて(分離できるタイプは分離させて)おき、自然に冷めるまで放置します。すぐに汚れを落としたい時は、キッチンペーパーで拭き取るだけにしておきましょう。
5. 木製や樹脂製のキッチンツールを使う
ホットサンドをお皿に移す時や食材を炒める時は、木製の菜箸や樹脂製のヘラを使いましょう。ハンバーグや餃子を取りだす時に使うフライ返しもシリコンなどソフトなものを選んでください。
6. やわらかいスポンジで洗う
コーティングを傷つけないよう、やわらかいスポンジで洗いましょう。私は汚れがひどくない時は、アクリルたわしで洗っています。軽い油汚れなら水だけで洗えるのでおすすめです。
アクリル たわし 日本製
まとめ|フッ素樹脂加工を長持ちさせる6つの方法とNG行動
フッ素樹脂加工されたホットサンドメーカーを長持ちさせる方法について解説いたしました。
フッ素樹脂加工の寿命は1~3年で、剥がれたコーティングは復活しません。
再加工してくれる業者もあるので、思い入れのあるホットサンドメーカーであれば費用をかけてお願いするのもありですが、一般的には買い替えを考える方が多いでしょう。どちらにしても費用がかかるので、せっかくなら長持ちさせたいですよね。
正しい使い方で、手軽で美味しいホットサンドを長く楽しみましょう!
「一生使えるホットサンドメーカーが欲しい」という方は、鉄製ホットサンドメーカーがおすすめです。